緩和の出口いつ? ECB 「コロナ復興基金」動けば縮小へ=田中理
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新型コロナウイルスのパンデミック(世界的大流行)で疲弊した欧州経済の下支えは、欧州中央銀行(ECB)による金融緩和頼みの状況が続いてきた。
ECBはイタリアで感染爆発が起きた3月、既存の「資産購入プログラム(APP)」を今年末までの時限措置として増額したうえで、緊急対応策として国債や社債などを購入する「パンデミック緊急資産購入プログラム(PEPP)」を新設(図)。6月には買い入れ枠を7500億ユーロ(約90兆円)から1兆3500億ユーロ(約160兆円)に拡大し、期間も2020年末から21年6月末までに延長した。こうした矢継ぎ早の政策対応が好感され、一時急騰したイタリアの国債利回りは低下に転じ、短期金融市場の緊張も緩和している。
当面の危機対応に成功したECBの次なる課題は、平時対応への円滑な移行だろう。都市封鎖解除後の景気指標は軒並み上向いたが、失業や企業倒産の増加、感染第2波への警戒もあり、回復の持続力にはなお不安が残る。足元の金融市場の落ち着きも、ECBによる巨額の資産買い入れに支えられている面が大きい。景気の腰折れや金融市場の動揺を抑えつつ、政策正常化への道筋をつけるのは容易でない。
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週刊エコノミスト
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