香港 「中国化」強まる金融センター 海外投資家に懸念の声=玉井芳野
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6月30日深夜、香港国家安全維持法(国安法)が施行された。中国全国人民代表大会(全人代)が5月下旬に同法に関する審議開始を発表した後、約1カ月という異例のスピードでの成立となった。同法は「国家分裂、国家政権転覆、テロ活動、外国勢力との結託による国家安全危害活動」を犯罪行為とし、最高刑として終身刑を科す。中国政府の出先機関「国家安全維持公署」による国家安全犯罪に関する管轄権行使が可能となり、香港の高度な自治の後退は避けられない。外国人を含む香港域外の個人や在香港外資系企業も適用対象に含まれるため、同法をめぐる懸念が世界中に広がっている。施行直後の7月1日には「香港独立」の旗を掲げたことなどを理由に10名が逮捕され、法運用の厳しさが示された。
米国政府は同法制定を受け、対中制裁措置を次々と打ち出している。6月末には一部中国共産党員への査証(ビザ)発給規制や重要技術の輸出規制を発表。7月14日には、香港の自治の侵害に関わった人物及び当該人物と取引のある金融機関に制裁を科す「香港自治法」が成立し、香港に認めている優遇措置の多くを停止する大統領令も発表された。
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週刊エコノミスト
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