「危機は乗り切れる」航空機史上最悪の状況が続く中、それでも生き残る日系航空機リース4社はこれだ
「どのエアラインがつぶれるか誰にも分からない。航空機に価値があってもリース料金が繰り延べされたらアウト。今回の危機に勝者はいない」──。航空機リースでは古株のオリックス首脳が吐露するほど「2020年は航空機史上最悪の年」(IATA〈国際航空運送協会〉)となり、世界の旅客需要は半減した。
この未曽有の危機の航空市場で、実は日本は世界の航空機リースでトップ15に入るほど力を入れてきた。オリックス、三井住友ファイナンス&リース、東京センチュリー、丸紅の4社だ(表1)。-----訂正 表1のSMBCアビエーションキャピタルの出資企業は 三井住友銀行(32%)でした。ーーーー
とりわけ東京センチュリーは昨年10月に3200億円で米アビエーション・キャピタル・グループ(ACG)を、丸紅とみずほリースは1900億円で米エアキャッスルを買収した矢先だった。
1200億円を投じた丸紅は、3月に市場から約4割のプレミアムで購入した直後の20年3月期決算でエアキャッスルに392億円の減損損失を計上した。
その後も航空会社からリース料の繰り延べ要請は各社に相次いでおり、5月にはタイ国際航空や中南米最大のLATAM(チリ)が破綻するなど、航空大手が先にバンザイする異例の事態だ。
しかし各社は「この危機は乗り切れる」と断言する。というのもオリックスは1978年に航空機リースに参入した古株、センチュリーが買収したACGも設立30年の古参だ。三井住友ファイナンス&リースが12年に買収したRBS(英)の航空機リースも01年の設立で、この3社は9・11テロ、SARS(重症急性呼吸器症候群)、リーマン・ショックをくぐり抜けてきた。
今後は航空会社、機体メーカー、リース会社痛み分けのタフな交渉となるが「今期も黒字で乗り切る」と豪語する企業もいる。
丸紅も13年にエアキャッスルの株を一部取得している。不況期は、機体の年齢が古いほど整備コストがかかるため、平均機齢が約10年の丸紅は4社の中では不利だが、「日系4社はスポンサーがしっかりしている。生き残れる」(オリックス)という。丸紅の買収で格付けが上がったエアキャッスルもニューマネーの施策などの何らかの手を打ってくるはずだ。
(金山隆一・編集部)
(本誌初出 コロナ禍でも生き残る日系航空機リースの4社=金山隆一 20200818)