教養・歴史書評

乗せるから聞かせて 本音引き出す絶品ルポ=楊逸

×月×日

 雨の多い季節。鬱々とする在宅勤務の日々に新刊の自著が届いた。『わが敵「習近平」 中国共産党の「大罪」を許さない』(飛鳥新社、1400円)。長いこと悩み苦しんで胸につかえていた「母国」という存在への違和感やわだかまりなどを多少吐き出せて、すっきりした。

『上海フリータクシー』(フランク・ラングフィット著、園部哲訳、白水社、2700円)を読む。

 米国出身のジャーナリストという著者は、1997〜2002年と、11〜16年の2度、特派員として中国に滞在し、長く中国報道に携わった「中国通」だ。言論統制の厳しい中国で、人々の本音を聞き出そうと、彼はフリータクシーを考案した。「ただで乗せる代わりに、話を聞かせてくれ」というわけである。

残り980文字(全文1298文字)

週刊エコノミスト

週刊エコノミストオンラインは、月額制の有料会員向けサービスです。
有料会員になると、続きをお読みいただけます。

・会員限定の有料記事が読み放題
・1989年からの誌面掲載記事検索
・デジタル紙面で直近2カ月分のバックナンバーが読める

通常価格 月額2,040円(税込)

週刊エコノミスト最新号のご案内

週刊エコノミスト最新号

4月30日・5月7日合併号

崖っぷち中国14 今年は3%成長も。コロナ失政と産業高度化に失敗した習近平■柯隆17 米中スマホ競争 アップル販売24%減 ファーウェイがシェア逆転■高口康太18 習近平体制 「経済司令塔」不在の危うさ 側近は忖度と忠誠合戦に終始■斎藤尚登20 国潮熱 コスメやスマホの国産品販売増 排外主義を強め「 [目次を見る]

デジタル紙面ビューアーで読む

おすすめ情報

編集部からのおすすめ

最新の注目記事