菅政権と間合いはかる財務省 見えぬ財政政策
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携帯電話料金の値下げにデジタル庁新設、不妊治療の保険適用拡大――。国民の耳目を集める政策を次々とぶち上げる菅義偉政権だが、いまだ見えづらいのが財政再建へのスタンスだ。菅首相は多くを語らないだけに、周囲は真意を測りかねている。
菅氏発言に一喜一憂?
「昨夜はいろいろな人から『良かったね』というメールが山ほど来たが、今日は逆に『残念だね』というメールがいっぱい来たよ」。自民党総裁選が終盤を迎えた9月11日、ある財務省幹部はそう嘆いた。菅氏は、前日夜の民放番組で消費税について「将来的なことを考えたら、行政改革を徹底した上で引き上げざるを得ない」と発言した。だが、11日の記者会見では一転、「『今後10年程度は引き上げない』という安倍首相の考えと同じだ」と軌道修正した。
省内には「騒ぎすぎだ。一喜一憂しない」と平静を装う向きもあったが、「首相が2代続けて『10年上げない』などと甘いことを言ってもらっては困る。長期政権を見据えるなら(考え方を)切り替えてもらう」(幹部)との強硬論も。ことによっては消費税増税を事実上「封印」した形の首相に翻意を働きかけるつもりだろうか。財政出動に慎重な財務省は安倍政権で官邸に遠ざけられただけに、新政権との間合いを慎重に測ろうとしてい…
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週刊エコノミスト
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