SPAC(特別買収目的会社) 新興企業の「空箱上場」で問題 迅速調達でユニコーンが殺到=荒武秀至
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水素燃料電池トラックを製造する米新興企業ニコラ・モーターが今年6月、米ナスダック市場に上場すると株価は一時93ドルに急騰した。だが、たった3カ月後の9月には一時16ドル台まで急落してしまった。原因は、空売りを専門とする投資会社が9月10日、「ニコラはトラックの性能を誇大広告している」との報告書を公表したことだ。これを受けて、米証券取引委員会(SEC)が調査に乗り出した。その後、ニコラ社が、電動トラックの映像は電動自走していたものではなく、坂道を転がしていたことを一部認め、20日に創業者のトレバー・ミルトン会長が辞任に追い込まれた。
ミルトン氏は上場後の記者会見で、電動ピックアップトラック「バジャー」の委託先製造元も、製造開始日も、価格も明らかにせず、6月末からの受注開始とだけ発表していた。ただ、市場は同社に懐疑的であったとみられ、9月の不正報告書公表前から株価は下落傾向にあった(図1)。
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週刊エコノミスト
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