日産・ホンダ 「ハイブリッド」強化へ EVは“規制地”向けに=杉本浩一
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p80 <第2部 電動化に揺さぶられる業界>
かつて電気自動車(EV)一辺倒であった日産自動車の電動車戦略が大きく変化したのは、ここ数年のことだ。2010年、次世代自動車のエースとして、満を持して投入した世界初の量産EV「日産リーフ」の販売台数は、会社の期待を大きく下回った。比較的求めやすい価格の実用EVは、時期尚早だったのだろう。「アーリーアダプター」と呼ばれるEVを果敢に受け入れた顧客は、米カリフォルニア州の高級住宅地で暮らすような富裕層が多く、自動運転などの新技術を満載した“とがった”新ブランドの高級EVをむしろ好んだ。
このピンチを救ったのが、16年発売のハイブリッド車(HV)「ノート e-POWER(イーパワー)」である。「マーチ」などから流用したエンジンを発電専用にし、リーフから流用したモーターで駆動する世界初のシリーズ式HVだった。車両開発の主目的は、低迷していた横浜工場のモーター製造ラインの稼働率向上と、新モデル不足が続いていた国内市場の活性化。いわば「中継ぎ投手」のような役回りを期待されていた。
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週刊エコノミスト
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