週刊エコノミスト Online学者が斬る・視点争点

国の貧富を分ける「技術水準」=高野久紀

資源配分のゆがみが発展阻害

 世界には豊かな国と貧しい国が存在している。2019年の1人当たり国内総生産(GDP)は、米国6万5297ドル、ノルウェー7万5420ドルと、日本円で約700万~800万円なのに対し、アフリカのマラウイでは412ドル、マダガスカルでは523ドルと同4万~5万円台に過ぎない。世界の所得格差は何によって生じ、いかにして改善できるのか。これは開発経済学が直面する最重要課題の一つだ。

 この所得格差をもたらす要因を大まかに分類する手法として、「発展会計」がある。これは、マクロ経済学で標準的に想定される生産関数に基づけば、労働者1人当たりのGDPは、「資本対GDP比」「人的資本水準」「技術水準(総要素生産性、TFP)」に分解できるので、各国間の労働者1人当たりGDPの違いが、これら三つの各要因によってそれぞれどの程度説明できるかを計算するものだ。

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