何が起きるか3 米国急回復 巨額景気策で6%成長に迫る リスクは職種間の賃金格差=笠原滝平
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米国は世界で断トツの経済大国である。世界の国内総生産(GDP)に占めるシェア(2019年、IMF)でみれば24%と、2位の中国(16%)と3位の日本(6%)の合計よりも大きい。
米国経済の特徴として、第一に、個人消費の強さが景気の浮沈を握っていることが挙げられる。米国では個人消費がGDPの7割近くを占め、日本(5割強)やドイツ(5割)、中国(4割)に比べても大きい。また、移民の流入を背景に先進国の中でも人口増加率が相対的に高いため、個人消費が持続的に拡大しており、GDP成長率の動きに大きな影響を与えている(図1)。
第二の特徴は、政府や中央銀行による財政・金融政策の運営において、雇用情勢の安定がとりわけ重要視されていることである。象徴的なのは、米国の中央銀行に当たる連邦準備制度理事会(FRB)に対し、「物価の安定」という中銀の一般的な責務のほかに、「雇用の最大化」という責務も法的に与えられていることである。このため、毎月第1金曜日に公表される雇用統計の動きは、個人消費のみならず金融政策の行方にも直接影響する…
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週刊エコノミスト
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