投資・運用

ロビンフッド無料取引のからくり 証券版「アラブの春」で笑う者=黒木亮

 SNS(交流サイト)の掲示板を介して共闘した個人投資家が巨大ヘッジファンドを倒したと話題になったゲームストップ株が、騒動後の40ドル前後の底値から再上昇し、3月中旬時点で200ドル前後を付けている(図1)。関係者によると、再上昇は個人投資家ではなく、機関投資家の買いの影響だという。

 今回の騒動は、証券市場でSNSと個人投資家の影響力が増大したという変化が顕在化した点で、画期的な出来事であるのは間違いない。一方、株価上昇局面で共闘に馳(は)せ参じた個人投資家は高値づかみで損失を被り、一番もうけたのは市場のビッグプレーヤーであると見られる。

 その意味で、SNSを通じて庶民が蜂起し、長期独裁政権を倒したものの、結局は元の軍事政権に戻ったり、内乱状態に陥ったりした「アラブの春」(2010〜12年)の光景と重なる。

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