危機の深層 発電所の故障や燃料不足、寒波 2023年度まで危険な状況が続く=小笠原潤一
有料記事
最初に今冬の需給逼迫(ひっぱく)の経緯を整理する。
拡大はこちら
2020年12月25日にJパワーの橘湾(たちばなわん)火力発電所1号機105万キロワット(徳島県、石炭)、26日にJERAの碧南(へきなん)火力発電所2号機70万キロワット(愛知県、石炭)が、相次いで計画外停止(故障による停止)した。同時に12月26日から液化天然ガス(LNG)の不足により、各社のLNG火力の出力が低下するなど、発電設備の停止や出力低下が、昨年末から今年1月初旬にかけて増加した(停止・出力低下のピークは1月1〜2日)。
昨年12月27日には関西電力が電力供給予備力の不足のため、「電力広域的運営推進機関」(電力安定供給のため全国の送電網を監督する機関)より、他の電力会社から電力の供給を受ける指示を受けている。このため12月26日から、日本卸電力取引所(JEPX)の前日電力スポット市場に出される電力(30分単位の電力量=キロワット時)が不足し、市場価格が上昇した。ただ、年末年始休暇などの電力需要減少により、価格の上…
残り1159文字(全文1611文字)
週刊エコノミスト
週刊エコノミストオンラインは、月額制の有料会員向けサービスです。
有料会員になると、続きをお読みいただけます。
・1989年からの誌面掲載記事検索
・デジタル紙面で直近2カ月分のバックナンバーが読める