経済・企業 貿易
幾多の紛争経験のASEAN WTOに先駆けた新ルール=深作喜一郎
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経済のグローバル化が加速する中、近年の通商紛争では非関税措置の中でもアンチ・ダンピングや緊急輸入制限(セーフガード)など貿易救済措置の是非が問題となることが多い。ただ、こうした紛争解決の場面では、世界貿易機関(WTO)が十分に機能しているとは言い難い。非関税措置を巡る貿易紛争を数多く抱える東南アジア諸国連合(ASEAN)の事例を引きながら、WTOに内在する課題を検討してみたい。
WTOは、加盟国・地域間に起こる通商紛争を、WTO協定の規則と手続きを通じて適正に解決し、国際経済秩序を維持することを目指している。米国や中国、日本、欧州連合(EU)をはじめ、現在は世界の大半を占める164カ国・地域が加盟し、1995年1月の設立時から今年1月末までの26年間でWTOに通報された通商紛争は延べ600件に及んでいる。
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週刊エコノミスト
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