経済・企業世界経済急回復のワナ

強気相場でリスクを冒す投資家 買われすぎの「ジャンク債」=馬渕治好

アルケゴス破綻で野村HDも損失を被った (Bloomberg)
アルケゴス破綻で野村HDも損失を被った (Bloomberg)

リスク5 「次のアルケゴス」 買われ過ぎのジャンク債 緩和縮小なら価格暴落も=馬渕治好

 米投資会社アルケゴス・キャピタル・マネジメントが資産運用で失敗し、欧州や日本の金融機関が多額の損失を出したことが3月下旬、話題になった。アルケゴスは形式的には法人だが、個人あるいは親族の資金管理などを行う「ファミリーオフィス」と呼ばれ、実態は個人投資家だ。他者から運用を委託される投資家と違い、情報開示などにおいて緩い条件で運用できる。アルケゴスはその条件の中で、リスクの高い運用を行っていた。金融機関はアルケゴスから比較的高い手数料を受け取る代わりに、投資のための資金提供を行っていたため、運用失敗で、取引先である野村ホールディングス(HD)が3000億円超の損失を被るなどした。

 一般的に、ファミリーオフィスがリスクの高い運用を行っているわけではない。つまり、アルケゴスが過度にリスクのある運用を行ったという固有の問題ではあるが、米連銀が金融緩和の出口を出始める際には、「第2、第3のアルケゴス」とも呼べるようなケースが発生する懸念は拭えない。というのも、現在の低金利と資金余剰を背景に、多くの投資家が過度のリスクを冒していると推察されるためだ。アルケゴスの運用失敗も低金利で通…

残り691文字(全文1226文字)

週刊エコノミスト

週刊エコノミストオンラインは、月額制の有料会員向けサービスです。
有料会員になると、続きをお読みいただけます。

・会員限定の有料記事が読み放題
・1989年からの誌面掲載記事検索
・デジタル紙面で直近2カ月分のバックナンバーが読める

通常価格 月額2,040円(税込)

週刊エコノミスト最新号のご案内

週刊エコノミスト最新号

4月30日・5月7日合併号

崖っぷち中国14 今年は3%成長も。コロナ失政と産業高度化に失敗した習近平■柯隆17 米中スマホ競争 アップル販売24%減 ファーウェイがシェア逆転■高口康太18 習近平体制 「経済司令塔」不在の危うさ 側近は忖度と忠誠合戦に終始■斎藤尚登20 国潮熱 コスメやスマホの国産品販売増 排外主義を強め「 [目次を見る]

デジタル紙面ビューアーで読む

おすすめ情報

編集部からのおすすめ

最新の注目記事