国際・政治

台湾統一を「喫緊の課題」に押し上げた習近平の野望と背負った重荷=近藤伸二

建国記念日に当たる「双十節」の式典で、中国をけん制した台湾の蔡英文総統(台北で2020年10月10日) (Bloomberg)
建国記念日に当たる「双十節」の式典で、中国をけん制した台湾の蔡英文総統(台北で2020年10月10日) (Bloomberg)

台湾有事 「平和統一」捨て、退路絶つ 習氏の危ういパワーゲーム=近藤伸二

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 台湾有事が、国際社会の最重要テーマに急浮上してきた。まず、3月に東京で開かれた日米外務・防衛担当閣僚会議(2プラス2)の共同文書に「台湾海峡の平和と安定の重要性を強調」と明記された。4月に米ワシントンで開催された菅義偉首相とバイデン大統領による日米首脳会談の共同声明にも、同様の文言に「両岸問題の平和的解決を促す」との表現が付け加えられた。日米首脳会談の共同文書に台湾問題が書き込まれたのは、1969年の佐藤栄作首相とニクソン大統領の会談以来52年ぶりで、72年の日中国交正常化後は初めてだ。

 その後も、今年6月13日に英コーンウォールで行われた主要7カ国首脳会議(G7サミット)の首脳宣言に初めて台湾問題が盛り込まれるなど、日米が主導して欧州連合(EU)や韓国、オーストラリアを巻き込み、中国包囲網を築いた。各文書は台湾有事に直接言及しているわけではないが、強い警戒感が根底にある。

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