資源・エネルギー

石炭&天然ガスの利用急減が安定供給を損なうワケ=橘川武郎

    石炭&天然ガス 急減なら安定供給を損なう CO2「46%削減」への懸念=橘川武郎

     菅義偉首相は今年4月22日、バイデン米大統領が主催した気候変動サミットで、2030年度に向けた二酸化炭素(CO2)など温室効果ガス(GHG)の削減目標について、13年度に比べ46%削減することを目指すと表明した。日本政府は、「パリ協定」を採択した15年のCOP21(国連気候変動枠組み条約第21回締約国会議)で国際公約した「30年度に13年度比マイナス26%」から削減幅が20%上乗せされた。

     同サミット以前に経済産業省は、30年度の電源ミックスにおける再生可能エネルギーの比率を現行の22~24%から30%前後に引き上げる方向性を固めていた。ところが、46%という新しい削減目標が設定されたため、30年度の再エネ電源比率は30%ではとても足りず、30%台後半にまで高める必要が生じたのだ。十分な根拠がないまま、再エネ電源比率をさらに10%近く積み増さざるをえなくなったわけである。実現可能性に対して、重大な懸念が生じることは避けられないであろう。

     見落としてならないのは、再エネ比率を大幅に上昇させるためには、他の電源・エネルギー源の比率を大幅に低下させなければならない点である。

     現在策定中の「第6次エネルギー基本計画」に盛り込む30年度の電源構成においても、原子力施設立地自治体への配慮などの政治的思惑もあって、政府は原子力の比率を引き下げることはせず、現行の水準のままで据え置こうとしている。そうなれば、比率削減の対象は、電源構成では火力発電、1次エネルギー(加工されない状態で供給されるエネルギー)構成では化石燃料に絞り込まれる。それは、日本のエネルギー利用の経済性と供給安定性を大きく損なうことになると危惧している。

    拡大はこちら

     火力発電ないし化石燃料にかかわるエネルギー源のうち、石炭についてはもともとある程度の比率低下が見込まれていた。効率の悪い石炭火力を順次退役させ、高効率石炭火力へ絞り込むことによって(表)、30年度電源ミックスにおける石炭の比率は、現行の26%から20%程度に下がると想定されていた。しかし、新たな46%削減目標とのつじつま合わせの結果、石炭の比率は15%程度に下がる恐れがある…

    残り1774文字(全文2724文字)

    週刊エコノミスト

    週刊エコノミストオンラインは、月額制の有料会員向けサービスです。
    有料会員になると、続きをお読みいただけます。

    ・会員限定の有料記事が読み放題
    ・1989年からの誌面掲載記事検索
    ・デジタル紙面で過去8号分のバックナンバーが読める

    通常価格 月額2,040円(税込)

    週刊エコノミスト最新号のご案内

    週刊エコノミスト最新号

    12月7日号

    東証再編サバイバル18 収益性底上げへの“荒業” 日本株再起動の起爆剤に ■稲留 正英/中園 敦二24 インタビュー1 再編の狙いに迫る 山道裕己 東京証券取引所社長 「3年後には『経過措置』の方向性 プライム基準の引き上げもありうる」27 やさしく解説Q&A 東証再編/TOPIX改革/CGコード改 [目次を見る]

    デジタル紙面ビューアーで読む

    おすすめ情報

    最新の注目記事