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資源・エネルギー 脱炭素の落とし穴

原発再稼働への安易な期待は弊害だらけの理由=本橋恵一

再稼働を開始した関西電力美浜原発3号機
再稼働を開始した関西電力美浜原発3号機

原発 もはや基幹電源ではない 安易な期待は弊害だらけ=本橋恵一

 脱炭素社会に向けて、電源構成も二酸化炭素(CO2=カーボン)を排出する通常の火力発電所依存から、再生可能エネルギー、アンモニア・水素火力発電、そして原子力発電といったカーボンゼロの発電所への転換が図られている。政府が近くまとめる「第6次エネルギー基本計画」には、それぞれ導入目標が盛り込まれる見通しだ。

 とはいえ、カーボンゼロの発電はいずれも課題を抱えた電源である。例えば、再エネは発電が天候に左右されるため、既に大量導入された九州エリアでは出力制御の問題が起きている。今後は他エリアでも起こるだろう。一方、原発についてはカーボンゼロの推進を名目に期待する向きもあるが、足元は新増設どころか再稼働も十分に進んでいない。

稼働はわずか10基

 2011年3月11日の東日本大震災による東京電力福島第1原発事故以降、日本は原発依存度を下げるとしながら、安定電源の確保やCO2排出抑制のため、一定の役割も担わせることを目標としてきた。18年に策定された「第5次エネルギー基本計画」では、30年における電源構成の20~22%は原発としている。

 しかし、実際には現状、原発の割合は19年度でわずか6・2%しかない。東日本大震災以降、再稼働した原発は、今年6月23日に再稼働した関西電力美浜3号機(福井県)を含めてようやく10基にとどまる。かつて50基以上の原発が稼働していたが、現在はその2割しか動いていないことになる。

 震災から10年以上たっても再稼働が進んでいないことには理由がある。まず原子力規制委員会の新しい安全規制に対応するために時間を要していることだ。活断層の定義などで規制が厳しくなったほか、事故対策として防潮堤など新たな設備の追加も求められた。

 例えば、テロ対策設備はその一つで、再稼働の審査終了後5年以内に設置することが義務付けられている。美浜3号機の場合、まだ対策設備設置が終了しておらず、5年の期限を10月に迎えるため、その時点で再び運転を停止することになる。また、北陸電力志賀2号機(石川県)や北海道電力泊3号機(北海道)などは、活断層が理由で再稼働できない。

東電不正の致命傷

 住民との間の合意形成ができていないケースもある。原発から半径30キロ以内の自治体からは合意を取り付ける必要があるが、日本原子力発電東海第2(茨城県)のように、市街地が近い原発では住民の反発は強い。また、東京電力柏崎刈羽(新潟県)も住民との合意形成が…

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