米国株 ダウ平均で3万7000ドル目指す ワクチン拡大で景気敏感株がけん引=榮聡
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2021年後半の米国株式市場は、コロナワクチンの接種拡大を受け、引き続き、上昇基調と最高値更新が期待できそうだ。米国の代表的な株価指数であるS&P500指数は年前半に14・4%の上昇となった。過去30年の年平均上昇率が8%前後であることに鑑みると、やや「スピード違反」の印象もある。
しかし、S&P500指数ベースの21年通年の予想1株利益(EPS)は年初の見通しから16・8%上方修正され、株価上昇はEPSの上昇を伴っていると確認できる。少なくとも上半期に上がり過ぎたので、下半期は調整必至ということではなさそうだ。
S&P500は4600ポイントも
特に、1~3月期決算は、S&P500指数のEPSが前年同期比52・5%増となって、事前の市場予想を28・8ポイントも上回った。これは、エネルギーなどの景気敏感株のほか、コロナで消費者がネットメディアをたくさん利用するようになり、フェイスブックやグーグル(アルファベット)の広告収入が伸びるなど、大手テクノロジー企業群であるGAFAMの業績が好調だったことが背景にある。これを受けて21年、22年の通年予想EPSとも好調な上方修正となっている(図1)。
S&P500指数は、4~6月期決算の発表前の現段階では4400ポイントを今年の高値目標としている。しかし、4~6月期決算の結果次第では、現在213ポイントの22年予想EPSは230ポイント程度までの上方修正が期待できるかもしれない。予想株価収益率(PER)20倍まで買えるとして4600ポイントと予想できる。ダウ工業株30種平均では、3万7000ドルに相当することになろう。
4~6月期の決算は21年下期もEPSの上方修正が続くかを占う上で重要だが、米金融情報会社ファクトセットの集計でS&P500指数のEPSは前年同期比64・0%増と大幅な増益が続くことが予想されている(7月9日時点)。大幅な増益をけん引するのは、1~3月期と同様に「エネルギー」「資本財・サービス」「一般消費財・サービス」「金融」「素材」など、新型コロナのパンデミックによる打撃が大きかった景気敏感な業種の回復だ。
年初来の通年EPSの上方修正の原動力となったGAFAMなど大手テクノロジー企業は、1~3月期のような大幅な上方修正にはつながらないと想定されるものの、引き続き業績好調が見込まれている。一方、4~6月期決算で予想EPSの上方修正をけん引するのは景気敏感業種や経済再開銘柄などに変化する可能性があり、注目したい。
下期も予想EPSの上方修正が続き、株価に上値の余地があると想定している。その背景には、米国での順…
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週刊エコノミスト
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