コロナワクチン 3回目接種で変異株対応へ候補に国産ワクチン浮上も=都築伸弥
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ワクチン 3回目接種で変異株対応へ 候補に国産ワクチン浮上も=都築伸弥
2020年11月の独ビオンテック・米ファイザー製ワクチンが有効性(発症予防率)で90%以上という良好な結果を得たというニュースで、株式市場がコロナ禍脱却に向けて大きく転換したことは記憶に新しい。承認されているmRNA(メッセンジャーRNA)ワクチンはビオンテック・ファイザー製、米モデルナ製の計2製品あり、これらのワクチンはコロナ感染による発熱・けん怠感などの症状の発生を予防する効果(発症予防効果)が半年後でも90%以上と報告されており、1年以上効果が維持される可能性も期待されている。
感染・伝播予防効果も
インフルエンザなどに対するワクチンではあまり見られない効果として、感染そのものを予防する効果(感染予防効果)やワクチン接種後に感染した際に他人への感染リスクを減らす効果(伝播(でんぱ)予防効果)も報告されている。承認ワクチンの中では、発症予防効果に差はあるものの、入院せずに済む効果が約9割あると医療ビッグデータ解析の「リアルワールドデータ」から示唆されている。
このような画期的なワクチンの開発により、ワクチン接種が進む英米は接種率の上昇に伴い感染者は減少傾向を示した。しかし、デルタ株などの変異株の流行を背景に英国では再び感染者数が急拡大した。
ただ、高齢者へのワクチン接種率が9割を超えていた効果があったのか、入院患者数・死亡者数は抑えられ、英国は7月19日から全ての行動制限についての規制を撤廃。事実上のウィズコロナでの経済再開にかじを切った。
今後、海外渡航解禁の方針も示されるとみられる。英国で経済再開が成功すれば、この方針が世界における「ゴールドスタンダード」(黄金律)となっていくと考えられる。
ウイルスは変異を繰り返し、現在までにWHO(世界保健機関)が定める懸念すべき変異株は4種誕生している。日本も含め感染拡大の原因となっているデルタ株に対しては、引き続き高い有効性が示唆されているが、一部変異株に対しては有効性低下が報告されている。ワクチンに耐性を示す次世代の変異株の出現に備え、ワクチン開発会社は新たなワクチン開発も進めている。
一方で、朗報もあり足元の試験結果で、従来型のワクチンであっても3回目の接種によって、変異株への有効性が上昇する可能性が報告されている。
3回目の接種が変異株への対抗手段となる可能性が示唆されたこともあり、英国は9月から高齢者など一部を対象に3回目の接種を開始する方針を示した。また、どの種類のワクチンが3回目の接種として適当かを評価するため、計7種のワクチンを使用した政府主導の試験も進められており、9月にも結果を発表予定だ。
日本国内は、1970年代のワクチンの副作用についての集団訴訟や、輸入ワクチンの発売に伴う市場の縮小などによってワクチン開発会社が研究開…
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週刊エコノミスト
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