資源・エネルギー

エネルギー基本計画、再エネ高比率の隠されたトリック=橘川武郎

エネルギー基本計画改定 実現困難な高い再エネ・原発比率 総発電量「減少」でつじつま合わせ=橘川武郎

 国のエネルギー基本計画改定の柱となる2030年の新たな電源構成案が7月21日、経済産業省資源エネルギー庁(エネ庁)の基本政策分科会(以下分科会)で示された(表)。表の拡大はこちら

 エネ庁による同計画の改定作業は4月末までは順調に進んでいたが、4月22日の気候変動サミットで事態が急変した。菅義偉首相が30年度の温室効果ガス削減目標を、従来の13年度比26%から一気に46%に引き上げると表明したからだ。同日は、たまたま筆者が委員を務める分科会が開かれていたが、「46%」の一報が伝わるとエネ庁幹部全員が慌てて退席するなど、会議場は一時混乱した。

 それまでエネ庁は、30年削減目標は40%程度になると見立て、これをベースに、改定案に盛り込む再生可能エネルギーの比率をぎりぎり実現可能な30%程度にする方針だった。ところが、「46%削減」のためには再エネ比率を30%台後半に引き上げざるをえなくなり、以降、エネ庁は再エネ比率の積み増しに腐心することになった。

残り419文字(全文896文字)

週刊エコノミスト

週刊エコノミストオンラインは、月額制の有料会員向けサービスです。
有料会員になると、続きをお読みいただけます。

・会員限定の有料記事が読み放題
・1989年からの誌面掲載記事検索
・デジタル紙面で直近2カ月分のバックナンバーが読める

通常価格 月額2,040円(税込)

週刊エコノミスト最新号のご案内

週刊エコノミスト最新号

4月30日・5月7日合併号

崖っぷち中国14 今年は3%成長も。コロナ失政と産業高度化に失敗した習近平■柯隆17 米中スマホ競争 アップル販売24%減 ファーウェイがシェア逆転■高口康太18 習近平体制 「経済司令塔」不在の危うさ 側近は忖度と忠誠合戦に終始■斎藤尚登20 国潮熱 コスメやスマホの国産品販売増 排外主義を強め「 [目次を見る]

デジタル紙面ビューアーで読む

おすすめ情報

編集部からのおすすめ

最新の注目記事