実用化の期待高まる「がん治療ワクチン」、米モデルナなどが開発=村上和巳
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がん治療ワクチン mRNAを投与して免疫を「訓練」 コロナワクチンの原理で治療=村上和巳
米ファイザーと独ビオンテック、米モデルナは有効性の高い新型コロナウイルスのワクチンを記録的な速さで完成させ、世界に衝撃を与えた。両ワクチンはメッセンジャーRNA(mRNA)ワクチンと呼ばれる遺伝情報を使った新しいワクチンだが、mRNAは以前からがん治療への応用が研究されてきた。そもそもビオンテックとモデルナはmRNAでのがん治療研究のパイオニアであり、今回のワクチンの成功を機にmRNAでのがん治療が実用化へ近づくと期待が高まっている。
mRNAは「たんぱく質製造の設計図」と表現されることが多い。たんぱく質はヒトの体を構成する約60兆個の細胞の主成分。細胞の中にはヒトの全遺伝情報を有するDNAがあり、各種のたんぱく質が作られる際にDNA内から個々のたんぱく質製造に必要な遺伝情報のみが切り出されている。この遺伝情報がmRNAだ。
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週刊エコノミスト
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