経済・企業

膵臓がん治療に光明、「KRAS阻害剤」が実用化へ=濱田一智

膵臓がんで亡くなったアップルの元CEOスティーブ・ジョブズ氏 (Bloomberg)
膵臓がんで亡くなったアップルの元CEOスティーブ・ジョブズ氏 (Bloomberg)

がん 標的を狙い撃つ「KRAS阻害剤」 膵臓がん治療薬の実用化に光明=濱田一智

 自覚症状がなく、気づいたときには進行してしまっていることの多い膵臓(すいぞう)がん。「沈黙の臓器」と呼ばれて早期発見が難しいため、結果として死亡率が高い(図)。2011年に56歳で亡くなった米アップルの共同設立者、スティーブ・ジョブズ氏の死因も膵臓がんだった。難治性のがんの代表でもある膵臓がんだが、最近、治療につながりそうな薬の実用化にめどが立ってきた。「KRAS(ケーラス)阻害剤」だ。米アムジェンや独べーリンガーインゲルハイム、話題の米モデルナらが参入している。

 人の体内には「KRAS遺伝子」と呼ばれる遺伝子が存在し、変異することで異常な細胞が生じてがんにつながる。こうした一連の流れを邪魔して、がんの進行を防ぐ薬がKRAS阻害剤だ。膵臓がん患者の多くにKRAS遺伝子変異が見つかるため、そこを狙い撃ちすれば治療できるかもしれないという期待が持たれている。

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