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新基準改訂後の消費者物価指数、大きな上昇基調は今後も期待できず=斎藤太郎
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消費者物価が新基準 大きな上昇基調は期待できず 今後は欧米との格差がより鮮明に=斎藤太郎
総務省が8月20日に公表した消費者物価指数(CPI)によると、2021年7月の消費者物価(生鮮食品を除く総合、以下コアCPI)は前年比0・2%のマイナスとなり、下落率は前月から0・3ポイント縮小した。
携帯電話通信料は大幅下落が続いているが、原油高の影響でエネルギーの上昇率が高まったこと、20年7月下旬に始まった「GoToトラベル」による下落の反動で宿泊料の伸びが急加速したことがコアCPIの下落幅縮小に寄与した。
今回の発表から、消費者物価指数は新たに「20年基準」へと切り替えられている。20年基準の品目ウエートは、通常であれば20年の消費支出金額を基本として作成されるが、新型コロナウイルス感染症の影響を踏まえ、19年と20年を平均してウエートが作成された。
19年との平均で若干緩和されたものの、20年基準のウエートは新型コロナウイルス感染症の影響で家計の消費構造が大きく変化したことが反映されている。たとえば、外出自粛、在宅勤務、店舗休業、営業時間短縮などにより、外食、交通費、衣料、宿泊料、パック旅行費のウエートが低下。一方、巣ごもり需要や感染予防意識の高まりを背景に家電製品、マスクのウエートが上昇したほか、内食需要の増加から外食以外の食料のウエートが高まった。
また、基準改定を受けてコアCPI上昇率は21年1月にさかのぼって公表し直されている。21年1~3月の改定幅はマイナス0・1~0・2ポイントと小さかったが、4月以降はマイナス0・6~0・8ポイントへと急拡大した(図)。これは、4月に…
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週刊エコノミスト
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