経済・企業 EV世界戦
EVで伸びる電池・モーター、今注目の6銘柄=和島英樹
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EV時代の成長株2 モーター&電池=和島英樹
日本電産 23年に駆動部の標準品5種量産
EV(電気自動車)を動かすには(1)モーター、(2)モーターの回転を制御するなどの役割を持つインバーター、(3)減速機が必要になる。日本電産はこれらEVの駆動部に経営資源を集中し将来的な業績貢献を狙っている。特に、(1)~(3)を一体化した「トラクションモーターシステム」として「E─Axle(イーアクスル)」を開発し、2019年4月から量産を開始した。
イーアクスルは駆動部が一体となっているため、車体に載せて電力を供給すればEVが出来上がる。車両メーカーはイーアクスルを採用すれば、短期間でのEV開発が可能になる。同社製の特徴は、他社に比べて小型・軽量かつ、パワー密度が高いことにある。また、モーターの効率向上を図るため、モーターを円滑に回すための中核部品である「モーターコア(鉄心)」の巻き線に新工法を採用した。23年までに5種類の標準製品を量産化する予定だ。
22年3月期の第1四半期(4~6月)末現在で、イーアクスル採用車種の販売台数は累計で16万1000台を超えた。今年7月には、EVベンチャーのASF(東京都港区)が開発し、佐川急便が国内配送用として採用した小型トラックに日本電産の駆動用モーターとインバーターが採用された。同社の駆動モーターが国内で走行するEVに使われるのは初めてとみられる。
日本電産はEVが急速に普及し始める分岐点を25年とみており、30年のイーアクスルの販売台数は1000万台になると予測。この時点での世界シェア40~45%を目指している。EVの普及に伴うイーアクスルの採用が思惑通りに進めば、30年には収益柱として貢献している可能性が大きい。
三井ハイテック モーターコアで世界の7割
金型の超精密加工技術に強みがある電気機器メーカー。電動車向けのモーターコアでは世界シェア7割を占める。当初は家電向けが中心だったが、トヨタ自動車が1997年に発売したハイブリッド車(HV)「プリウス」のモーターコアに採用されたことを契機に徐々に車載向けの比重が高まっている。現在では自動車用モーターコアを年160万個製造しているという。
強さの源泉は同社がモーターコア生産性向上のために開発した「MACシステム」。製品を打ち抜く金型や周辺機器、およびそれらを制御する装置でシステムを構築して…
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週刊エコノミスト
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