経済・企業 商社2021
インタビュー 三菱商事・垣内威彦社長 低収益の事業は先手で売却 資産入れ替えが競争力に
有料記事
Top Interview4 垣内威彦・三菱商事社長 「低収益の事業は先手で売却」
新事業投融資一辺倒ではなく、自社では収益を上げられないと判断した事業については手放すよう一貫して主張している。
(聞き手=種市房子/稲留正英・編集部)
低収益の事業は先手で売却 資産入れ替えが競争力に
── 2021年4〜6月期連結最終(当期)利益は前期比5倍超の1875億円だった。
■当社の二枚看板である原料炭(鉄鋼用石炭)とLNG(液化天然ガス)の割合がまだ低い。4月以降の価格上昇が反映されるのが数カ月遅くなるためだ。それ以外の事業は比較的堅調だ。前年度(21年3月期)は新型コロナウイルスの影響で需要が減少し、あまりに大きな変動要因となったが、我々に適応力や耐性が付き、事業も安定化している。
── 21年3月期は原料炭事業で苦戦し1725億円に終わった。
■当社の20兆円規模の資産のポートフォリオ(配分)では、年間利益5000億円というのが実力値で、市況の変動によって上下に3000億円ずつぶれる。21年3月期はおよそ3000億円下にぶれたので、約1700億円になったということだ。市況が改善し4〜6月期は好調な滑り出しだが「それが何ですか」というところだ。外部環境に一喜一憂せず問い続けなければならないのは、三菱商事の20兆円規模の資産のポートフォリオが未来でビジネスをするのに適正か、ということだ。この5年間、我々の意図で構築してきた20兆円の資産ポートフォリオに問題はないと確信している。
── 就任から5年の投融資環境を振り返ると。
■以前から狙っていた案件に投資できた。たとえば、20年に中部電力と41億ユーロ(約5000億円)で買収したエネコ(蘭)は再生可能エネルギー発電、600万世帯の顧客を持つ送電事業、余剰電力の売買を手掛け、脱資源時代の有力な事業だ。当社の電力部署は十数年前からエネコの動向を追って…
残り2351文字(全文3151文字)
週刊エコノミスト
週刊エコノミストオンラインは、月額制の有料会員向けサービスです。
有料会員になると、続きをお読みいただけます。
・1989年からの誌面掲載記事検索
・デジタル紙面で直近2カ月分のバックナンバーが読める