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バルセロナがメッシを手放した厳しすぎる懐事情=酒井浩之
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メッシのバルセロナ電撃退団 リーグの規則に苦しむクラブ=酒井浩之
サッカーのアルゼンチン代表FW、リオネル・メッシ選手(34)が8月、長年所属した世界的強豪クラブのバルセロナ(スペイン)を退団し、パリ・サンジェルマン(PSG)に移籍した。バルセロナに21年間在籍し、その華麗なテクニックで数々のタイトル獲得に貢献してきた世界最高の選手の一人だが、退団に至った背景にはさまざまな経済的事情が複雑に絡み合っている。
メッシ選手はバルセロナの下部組織出身で、17歳となった2004/05年シーズンからトップチームに昇格。たぐいまれなボールコントロールや、身長169センチと小柄ながら簡単に倒れない体幹の強さなどを武器に、瞬く間に中心選手となった。在籍17シーズンでスペインリーグ優勝10回、欧州チャンピオンズリーグ(CL)優勝4回を数えるほか、個人でも世界最優秀選手賞「バロンドール」を史上最多の6度受賞した。
メッシ選手は17年7月、バルセロナと今年6月末までの契約延長に合意したが、昨年8月にはバルセロナのバルトメウ会長(当時)のクラブ運営に対する不信感から退団の意思を示したことが表面化。残留したものの、契約期限の今年6月末までに契約更新はされなかった。その後、新契約の内容に合意はしたものの、バルセロナ側の「経済的及び構造的原因」によって契約締結できず、8月5日にメッシ選手の退団が発表された。
「サラリーキャップ」
メッシ選手が退団時の記者会見で「人生の全てをささげてきた。(退団を)受け入れるのは難しい」と涙ながらに語ったように、バルセロナ退団を自ら望んだわけではないことは明らかだ。7000万~9000万ユーロ(91億~117億円)ともされる年俸を大幅減額してでも5年契約を結ぶ方針だったようだが、それでも退団に至った直接的な要因となったのは、スペインリーグが導入する「サラリーキャップ制度」だ…
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週刊エコノミスト
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