円安防衛術2 インフレヘッジの「持ち家」選択=関大介
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円安防衛術2 インフレヘッジの「持ち家」選択=関大介
初めに筆者は、どちらかと言えば「賃貸派」だ。終身雇用が名ばかりの時代になり、収入の安定性が低くなる中で、住宅ローンを抱えることは大きなリスクだと考えているためだ。
さらに最初の持ち家が“終(つい)の住み家”となっていることを考慮すれば、隣人関係だけでなく立地条件のリスクも抱えることになる。天災が増加している中で、気がつけば土砂災害警戒区域や浸水警戒区域に終生の地が該当する可能性もある。天災の規模は大きくなっており、行政から天災被害に該当する地域と、突然指定されるリスクもある。
しかし、このようなリスクを考慮しても、円安に伴うハイパーインフレが発生した場合には、持ち家のメリットが大きくなると考えられる。その理由は、インフレに伴う可処分所得の減少を一部回避できるためだ。
燃料や食料だけでなく、日本人の生活に不可欠なものの多くは輸入に頼っている。大幅な円安となった場合には、インフレになりやすい環境と言えるのだ。現時点では、日本国債は実質的に日本人の預金によって支えられているが、コロナ禍による大規模な財政出動も続いているため、このバランスが崩れる可能性も生じている。各国も同様に大規模な財政出動を行っているが、もともと日本の債務比率は高い。投資家が日本の財政に対し、投機のにおいを感じた場合には、1992年に英ポンドが急落した時と同様に大幅な円安が起きないとは限らないのだ。
変動金利は要注意
もちろん、十分な金融資産を持っている場合には、円を米ドルなどの外貨で保有することで円安による物価上昇の影響を一定程度回避することができる。円安となった後で、外貨を日本円に替えることで為替差益が生じるためだ。ただし、いつ到来するか分からない大幅な円安となる前に外貨に替えておく必要がある。
一方で現時点で、十分な金融資産を保有していない場合には、住居…
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週刊エコノミスト
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