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韓国の保守に“再生の旗手”として現れた「不遜」すぎる36歳・新代表の素顔=徐台教
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韓国の保守に“再生の旗手” 「不遜」すぎる36歳・新代表=徐台教
「私の前でも態度が不遜で、言いたいことは全部言う。あいさつもまったくしない」
8月25日、韓国で人気のユーチューブ番組で、保守系最大野党「国民の力」の大統領候補の一人、劉承旼(ユスンミン)元議員(63)は、同党の李俊錫(イジュンソク)代表(36)をこう評価した。劉氏といえば、前回2017年の大統領選で得票率4位となった大物政治家だ。李氏との親交の深さは以前から知られており、冗談半分とも取れる発言であったものの、筆者を含め聞く者をニヤリとさせる発言だった。
今年6月の「国民の力」の代表選で、韓国の主要政党としては初めて30代の若さで新代表に選ばれた李俊錫氏。党員投票と一般世論調査を7対3の割合で合算する方式で実施された代表選では、李氏が得票率43・8%で1位となり、国会議員歴16年の女性候補、羅卿瑗(ナギョンウォン)氏(58、得票率37・1%)らを抑えた。李氏の代表就任から3カ月以上たつが、韓国政治における注目度は依然としてトップクラスだ。
国会議員経験もない李俊錫氏が支持を集めたのは、その弁舌の巧みさと激しさが最大の要因だ。上から目線で早口ながらも理路整然とし、相手にかぶせるような話し方も相まって、常に白熱する場を作る才能がある。先の代表選での討論会。「李候補の発言は党にとってリスクになる」と指摘するライバルの羅氏に対し、李氏は「あなたのように対立する市民に向かって暴言は吐かない」と羅氏の過去の行いを例に、正面から迎え撃った。羅氏は「政治は頭と口ではなくハートで行うものだ」と返すのが精いっぱいだった。
朴氏の弾劾は「正当」
李俊錫氏は米ハーバード大学でITを学んで07年に卒業。帰国して兵役を終えた後、所得層の低い若者向けに教育機会を提供するボランティア団体を立ち上げる一方、アプリ開発のITベンチャーも起業した。後に大統領に就任する朴槿恵(パククネ)氏が11年、李氏のボランティア団体を訪ねたことで知遇を得て、「国民の力」の前身「セヌリ党」で党の刷新を図る「革新委員会」の委員長に抜てきされるなどした。
鼻筋の通…
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週刊エコノミスト
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