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韓国LG電子はスマホ事業で中国勢に敗北、EV車載部門を強化

米国のデジタル技術見本市で講演するLG電子幹部 Bloomberg
米国のデジタル技術見本市で講演するLG電子幹部 Bloomberg

LG電子 EVに注力する韓国電機大手=永井知美/354

 ◆LG Electronics

 LG電子は、1958年設立の韓国の家電・情報機器メーカーで冷蔵庫、洗濯機、テレビ、パソコン、車載部品などを手掛けている。142カ国(2019年時点)に事業展開し、家電の世界シェアは薄型テレビ2位、洗濯機4位、(20年の販売台数ベース。英ユーロモニターインターナショナル調べ)。

 LG電子は韓国4位(総資産ベース。19年時点)の財閥・LGグループの一角である。グループが電機分野に進出すべく設立された金星社を源流とし、韓国で初めてラジオ(59年)、冷蔵庫(65年)、テレビ(66年)を生産するなど韓国の家電メーカーの草分け的存在だ。

 21年4月、不振のスマートフォン事業からの撤退を表明したが、主力の家電事業は近年の高付加価値戦略が功を奏して好調である。部門別売上高構成比率は白物家電(冷蔵庫、洗濯機、エアコンなど)38%、テレビ/AV機器23%、車載部品10%、パソコン/モニターなど10%、連結子会社のLGイノテック(電子部品メーカー)15%など(21年1~6月期の数値)である。

中国勢と競争へ

 LG電子が金星社として発足した頃の韓国製品は、「安かろう悪かろう」のイメージが強かった。しかし、LG電子と社名を変更した95年ごろから欧米アジア市場で日本メーカーから家電のシェアを奪い、13年にはスマホの世界シェアで4位(米IDC調べ)となるなど、質と量の両面で世界的プレゼンスを高めていった。躍進の背景には、(1)先進国メーカーから技術を貪欲に吸収した、(2)デジタル化の進展で電気製品の多くが部品を組み合わせれば完成する時代になり、後発メーカーのLG電子に有利に働いた、(3)積極的な海外進出、(4)東南アジアで「蚊よけ機能を持つエアコン」を販売するなど、現地のニーズに合わせて巧みな商品開発をすすめたこと──…

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