中国の外食大手ヤム・チャイナ 本国で宅配急拡大、米国で上場廃止懸念=富岡浩司
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ヤム・チャイナ(百勝中国) ケンタッキーやピザハットを宅配/30
◆Yum China
ヤム・チャイナ(中国名:百勝中国)は、中国最大のレストラン・チェーンの運営企業だ。中国の1600以上の都市で合計1万1788店舗(2021年12月末現在)のレストランを運営し、21年(12月末)連結売上高が98・5億米ドル(約1兆2608億円)に達した。元々は米国の大手レストラン・チェーンであるヤム・ブランドの中国事業部門としてスタートした。1987年に米国のファストフードのケンタッキー・フライド・チキンを初めて中国に出店した後、中国事業部門がスピンオフで独立法人化された。16年11月にニューヨーク証券取引所、20年9月に香港証券取引所にそれぞれ上場した。ヤムは英語で「おいしい」の意味だ。
主力のレストラン・チェーンはケンタッキーとピザハット。ケンタッキーは87年に北京で初出店し、21年末時点で中国国内で8100店舗超を運営している。中国各地の嗜好(しこう)に合わせて、チキン以外にビーフバーガーやポーク、海鮮、米飯、かゆ、新鮮野菜、菓子なども提供するのが特徴。中国でのライバルはマクドナルドやバーガーキングなどがあるものの、店舗数では約2倍の規模を持つ。ピザハットも90年に北京に初出店し、現在は2500店舗超を運営している。その他のブランド展開としては21年末時点で、中華料理のほか、イタリア系のコーヒー・ブランド、メキシコ料理のタコベルなどもある。
21年の新規出店の都市別構成比では、中国で「1線」と呼ばれる超大都市(北京、上海、深圳、広州)と「2線」といわれる中枢都市クラスの合計が全体の50%で、それ以下の地方中小都市が50%と半々となっている。22年の新規純増店舗数は1000~1200店舗を計画し、設備投資を8億~10億米ドル(約1024億~1280億円)としている。
デジタル顧客急増
デジタル化は顧客数の増加に大きく寄与している。ケンタッキーのデジタル会員数は19年の2・15億人から21年には3・3億人に、ピザハットは同じ期間に7000万人から1・1億人に増えた。全体の注文額に占めるデジタルの比率も急増し、ケンタッキーは19年の63%から21年の87%に、ピザハットも31%から85%に拡大した。コロナ禍でデリバリー(出前)比率も高まり、ケンタッキーの売上高に占めるデリバリー比率は19年の19%から21年には31%に、ピザハットは25%から36%に急拡大した。
同時に、デジタル化やコロナの影響を反映し、出店戦略にも若干変化が出ている。最近の新規の店舗規模は持ち帰りやデリバリー…
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週刊エコノミスト
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