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米連邦予算で与野党が対立する議論のポイントとは=岩田太郎
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米連邦予算で与野党対立が激化 「社会主義」と共和党が批判=岩田太郎
米連邦政府の2022予算年度が10月に始まったが、与党・民主党のバイデン大統領が掲げる3兆5000億ドル(約384兆円)の財政出動計画の規模に野党・共和党が強硬に反発している。米論壇では、「赤字国債発行による財政出動は、善なのか悪なのか」との議論が再燃している。
共和党のマイク・ペンス前副大統領は9月30日の講演で、「バイデン政権の数兆ドル規模の予算案の実態は、『大きな政府』という社会主義だ。民主党の政策は、社会主義者を自任するサンダース上院議員のアジェンダに乗っ取られている」と非難した。
南部ジョージア州のブライアン・ケンプ知事(共和党)も9月19日の演説で、「米国人が求めたわけでもないのに、民主党はバラマキを通して、人々を政府に依存させようとしている。支出は際限がなくなり、インフレを生じさせ、将来世代に返済できないほどの負債のツケが回ることになる」と言明した。
民主党上院の内部からも、予算案への造反者が2人出た。その1人の同党中道派ジョー・マンチン上院議員は9月29日に発表した声明で、「必須の社会保障プログラムや低所得者向け医療保険に十分な予算も割けない中で、数兆ドル規模の新たな連邦政府の投資を行うことは財政上の狂気であり、予算額は、支払う余裕のあるレベルに抑えられるべきだ」と主張した。
トランプ前政権で大統領経済諮問委員会(CEA)委員長を務めたケビン・ハセット氏は9月29日付の保守派サイト『ナショナル・レビュー』で、「過去10年間、平均して55%の米国人がギャラップ世論調査で財政赤字が『とても心配だ』と…
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週刊エコノミスト
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