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重厚長大は脱炭素のエース、洋上風力など注目銘柄=横山渉
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もうオールドエコノミーと呼ばせない!脱炭素に目覚めた重厚長大 浮体式洋上風力に続々集結=横山渉
国のエネルギー政策の基本方針で、3年をめどに改定される「エネルギー基本計画」の第6次計画案における2030年の電源構成で、再生可能エネルギーの比率は現行計画の22~24%から36~38%へ引き上げられる方向だ。19年度で18%だった再エネ比率は倍増が必要になる。
厳しい目標に近づく手段として有力視されているのが浮体式の洋上風力発電だ。四方を海に囲まれた日本は、大量導入が可能な環境にあるからだ。
日本が強い浮体式
洋上風力発電には風車の基礎を海底に固定する「着床式」と、海上に風車を浮かべる「浮体式」の2種類がある。洋上は陸上よりも安定的に風が吹いており、設備建設のための部材は船舶で輸送するため、道路輸送に比べて制約が少ないなどの利点がある。
日本風力発電協によると、日本には着床式の設備容量の潜在力が128ギガワットに対して、浮体式は424ギガワットある。原発や火力など他の電源と比べた場合、実際の電力量は稼働率が違うため単純比較はできないが、浮体式の設備容量としての潜在力は原発約400基分に匹敵する。
エネルギー政策に詳しい東京財団政策研究所主任研究員の平沼光氏は、「日本は風力発電で先行した欧米に勝てないと言う人もいるが、浮体式はそうでもない。19年時点で浮体式洋上風力発電の導入実績があるのは、英国、日本、ポルトガル、ノルウェー、フランスだけで、日本は先頭集団にいる。洋上風力発電のこれからの主戦場は浮体式になる」と指摘する。
欧州では近年、洋上風力の導入量が年に1000メガ~3000メガワットの規模で急拡大している。一方、広大な海に囲まれている日本の導入量はまだ約2万キロワット(20メガワット)程度に過ぎない。従来、日本の沖合の海底は急に深くなる地形のため洋上風力には不向きとされてきたが、それは着床式の話。浮体式なら問題ない。
浮体式の技術に関しては、日本企業が先行しているので、あとは社会に導入していくことが大事だ。台風が心配という声もあるだろうが、海外ではハリケーンにも余裕で耐えている。地面に固定されていないので、むしろ地震や高波などの影響も受けにくいメリットがあるといわれる。
発電業者の海域利用は30年
浮体式は、日本では長崎県五島市沖で10年から実証実験が始まり、16年に…
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週刊エコノミスト
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