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史上最強の「量子暗号」で東芝が世界トップのわけ=編集部

東芝の逆襲 量子暗号通信 盗聴不可能、性能世界一 究極の「鍵」が実用化へ=浜田健太郎

 かつては戦争の行方を左右するほどの重要な技術だった暗号通信は、今ではビジネスや生活に欠かせない基盤技術だ。インターネット・ショッピングで安全に決済する際には必ず暗号が使われている。

 しかし、性能が飛躍的に高まるとされる量子コンピューターが本格的に実用されると、現行方式の暗号は解読される恐れがある。このため、重要な秘密を守るための究極の「鍵」となる量子暗号通信の実用化が注目を集めている。

 量子コンピューターと量子暗号は、極微の世界を扱う物理学の量子力学を基に研究、開発されてきたが、量子暗号は量子コンピューターでも理論上は解読不可能とされる。量子暗号通信がなぜ解読不可能なのかは図1・2の通りだ。

 今はまだ、現行の暗号通信方式(公開鍵暗号)を破る量子コンピューターは登場していない。とはいえ、将来にわたって価値のあるデータを暗号が掛けられた状態のまま盗んで保持しておき、大規模な量子コンピューターが開発されたら解読を狙う犯行の可能性が排除できない。そうした脅威への対応を想定し、安全保障、金融、医療などでの利用を視野に入れながら、中国や韓国、欧米諸国などで量子関連技術の開発競争が熱を帯びている。

基礎研究30年の蓄積

 実用化技術で世界の先頭を走るのが東芝だ。量子暗号に関する関連特許で同社は世界一。長年にわたる研…

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週刊エコノミスト

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