経済・企業

10月から"こっそり"と電気料金に上乗せされた原発賠償金=編集部

原発事故の賠償不足分は国民に転嫁される(東電福島第1原発)
原発事故の賠償不足分は国民に転嫁される(東電福島第1原発)

周知不足の“電力値上げ” 原発賠償は「国民負担」 不足分を電気料金に上乗せ=和田肇

 大手電力会社による電気料金の値上げの動きが注目されているなか、10月から電気料金に上乗せされたものが二つある。2011年に発生した福島第1原発事故の「賠償負担金」、そして「廃炉円滑化負担金」だ。

「賠償負担金」は、福島原発事故によって、足りなくなった賠償措置額(電力会社が原発事故賠償に備えて準備しておく資金)の不足分を、電気の消費者(国民)に負担させるものだ。不足額は2・4兆円にも達する。

 一方、「廃炉円滑化負担金」は、福島原発事故以降、各電力会社は所有する原発の一部を廃炉にする決定を行ったが、廃炉には莫大(ばくだい)なコストがかかるため、その一部を国民に負担させる。負担額は4740億円だ。

 電力会社は16年に「発送電分離」(発電、送配電、電気小売事業をそれぞれ分離)している。このため「賠償負担金」と「廃炉円滑化負担金」は、電力小売会社が電気を売る際に、送配電会社に支払う託送料金(電線使用料)に加算される。

 ただし、電力各社で経営状況が異なるため、託送料金に加算されても、実際の各家庭への電気料金請求では、値上げをせずに済む電力会社もある。値上げ予定の電力会社は、東北、関西、四国、九州電力の4社。このうち、東北電力は当面、値上げは行わず、上乗せ分は実質的に同社の負担とし、今後の情勢を見て値上げを検討する…

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週刊エコノミスト

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