国際・政治

需要増と石炭不足が招いた中国の電力危機。今後も電力不足の懸念は継続=前田雄大

    中国政府は石炭の在庫の積み増しを進めている Bloomberg
    中国政府は石炭の在庫の積み増しを進めている Bloomberg

    危機3 電力不足 豪州産石炭の輸入「禁止」に 価格高騰も追い打ちの悪循環=前田雄大

     中国において深刻な電力不足が生じており、中国経済の成長鈍化にもつながっている。これは複数の要因が関係して生じているが、エネルギーについて「需要の増大」と「供給の不足」の二つが同時に起きたためとも単純化できる。中国政府は問題解消に懸命だが、世界が「脱炭素」に進む中、化石燃料の供給が増えるとは見込みにくく、電力危機への懸念は今後もつきまとう。

     需要の増大の要因として深く関連したのが、言うまでもなく新型コロナウイルスの感染拡大だ。中国はコロナによる停滞から世界に先駆けていち早く経済回復を果たしたが、これを受けて、海外からの製造業への注文が急増した。今年1~3月期は製造業の成長率が国内総生産(GDP)成長率を大きく上回り、特に第2次産業での電力消費量が増加したことで、中国における電力需要が前年同期比10%以上も増加した。

     通常の中国であれば、エネルギー供給の増加で対応するが、今回に関しては特に化石燃料の価格高騰、供給の不足を原因として、電力供給を増加させることができなかった。この原因について、中国が2060年のカーボンニュートラルを見据えて、石炭より二酸化炭素(CO2)の排出量が少ない液化天然ガス(LNG)への転換を行ってきたことを指摘する向きもある。

     実際、ロイター通信が報じたように、中国が日本を抜いて世界最大のLNG輸入国になったのは事実だが、中国の電源構成上、LNG火力発電の割合は国際エネルギー機関(IEA)によれば、20年は3%にとどまっており、欧州のようにLNG不足を主要因にして電力不足が生じたわけではない。

    「在庫引き上げ」の通達

     今回の電力不足の原因はむしろ石炭にある。中国は脱炭素の旗を振り、世界最大の再生可能エネルギー導入量を記録するようになったが、それでもなお、中国の電力供給の中心は、電源構成の6割を超える石炭火力である。エネルギーの生命線の石炭が、価格高騰と供給不足に見舞われたのである。中国は国内に多くの炭鉱を持ち、石炭を自給できるが、実は石炭の純輸入国でもある。

     中国は国内消費量の10%弱を輸入に頼ってきた。これは、中国国内で採れる石炭に比べて、インドネシアや豪州で採れる石炭の方が質が高くて安価であり、電力のコストを抑えることができるためだ。沿岸部の地域は特にこの輸入物の石炭を活用してきた。しかし、中国は、新型コロナウイルスの起源を巡る応酬や米中対立の構図の中で、豪州が米寄りの施策を取ったことに反発する。

     20年9月からは豪州産石炭の輸入を非公式に禁止する措置を講じており、石炭の輸入量が減少していた(図1)。この結果、20年末から沿岸部の各省では、今回の中国全土での電力危機に至る前から、電力不足による節電要請や、広東省での停電などの事態が継続して発生。さらに、世界…

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