経済・企業 中国3大危機
デジタル人民元始動へ、「通貨覇権」の切り札に=木内登英
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デジタル人民元 仮想通貨の抜け道を遮断 「通貨覇権」狙う切り札=木内登英
中国の中央銀行である中国人民銀行は9月24日、ビットコインなど仮想通貨(暗号資産)の決済や取引情報の提供など関連サービスを全面禁止すると発表した。中国政府による仮想通貨への規制強化は2018年から段階的に進められてきており、今回の措置もそうした一連の流れの中にある。
当局はすでに国内での仮想通貨取引所を閉鎖させ、国内での取引を禁じていたが、利用者が国外の取引所を使うことは可能だった。そこで、中国国外の取引所がネットを通じて中国に住む人に暗号資産のサービスを提供することも禁じ、抜け道も完全に塞ぐことにしたのである。
この仮想通貨の規制強化には、来年に予定されている「デジタル人民元」発行に向けた環境整備、といった目的もあるのだろう。中国政府は、デジタル形式で直接価値が移転できるという意味でのデジタル通貨は、中国人民銀行が発行するデジタル人民元以外は厳に認めない方針だ。それを通じて、国内での金融の安定確保、国際資金フローの管理強化、個人データの統制などを狙っているのである。
22年2月の北京冬季五輪で世界にお披露目することを目指し、中国はデジタル人民元の発行準備を着々と進めている。主要国では初めての中銀デジタル通貨、つまりデジタル形式での法定通貨の発行となる。
中国は、貿易規模ではすでに米国を抜き世界一だ。しかし、ひとたび通貨・金融分野に目を向けると、中国は米国に依然大きく後れをとっている。皮肉なことに、貿易決済での中国のドル依存度はどの国よりも高く(図)、米国と覇権争いを続ける中で、それが中国の最大の弱点、ア…
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週刊エコノミスト
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