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原油高が引き金に資源や食糧価格も急騰 「スーパーサイクル」の再来か=柴田明夫
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全面高 原油高引き金に資源の争奪戦 「スーパーサイクル」再来か=柴田明夫
原油価格の騰勢が強まっている。ニューヨークWTI原油は10月に入り、約7年ぶりの高値を付けた。新型コロナ禍からの経済回復で、世界的なエネルギー需給逼迫(ひっぱく)への警戒感が高まっているためだ。
一方、石油輸出国機構(OPEC)と非OPEC加盟国を加えた「OPECプラス」の増産ペースは緩やかだ。日本など主要消費国の「増産」要請にもかかわらず、10月の閣僚級会合でも、従来の方針を維持すると再確認した。市場では、冬場の需要期に向けて世界的な石油需給の逼迫を招くとの思惑が広がり、投機マネーの買いを誘っている格好だ。WTI原油は年末に向けて1バレル=90ドルを試す場面もありそうだ。
アジア向け石炭は最高値
金、銅地金、鉄鉱石、石炭、穀物、砂糖、コーヒー、肉類、綿花などあらゆるコモディティー(1次産品)価格が強い騰勢を示している(図)。全てのエネルギーのベースとなる原油価格が高騰すれば、その他の資源の相対価格も原油に連動するためだ。エネルギーの3分の2を石炭で賄う中国は、旺盛な電力需要を背景に石炭の買いを活発化させている。世界最大の石炭市場であるアジア向け指標価格オーストラリア・ニューカッスル港積み発電用石炭(一般炭)価格は、9月に1トン当たり200ドルを超え、2008年7月に付けたこれまでの高値を更新した。
1次産品市場では、05~12年にかけて、原油、鉄鉱石、非鉄、穀物などの価格が一斉に騰勢を強める1次産品の「スーパーサイクル」と呼ばれる現象が起こった。1990年代以降、先進工業国が脱工業化する一方、中国、インド…
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週刊エコノミスト
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