経済・企業 円安 原油高
日本を襲う円安と資源高の二重苦=山口範大
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通貨安と原油高 日本経済を襲う円安下の資源高騰の二重苦=山口範大
コモディティー(商品)価格は、8月にかけて世界的に新型コロナウイルスのデルタ株が猛威を振るうなか、一時調整していたものの、9月後半以降、再び上昇している。特に上昇が顕著なのは原油などの資源価格であり、各商品に共通している背景としては、各国の経済活動の再開によるグローバルな需要増に対し、脱炭素への動きが世界的に広がっていることもあり、供給が追い付いていないことが挙げられる。
代表的な原油価格指標であるWTI価格は、約7年ぶりに1バレル=85ドル台まで上昇した。また、欧州の天然ガス価格は一時、年初来約6倍の水準まで上昇、天然ガス依存度の高い英国を中心にエネルギー危機といえる状況をもたらした。さらに資源価格の上昇は他のコモディティーへの波及もみられる。この結果、代表的なコモディティーの価格を総合した指数であるCRB指数(スポット)は約10年ぶりの高値圏にある(図1)。
通常、米ドルと、グローバルに米ドル建てで取引されるコモディティー価格は、逆相関の関係にあることが多い。この背景については、コモディティーに(1)金融商品としての性質、(2)国際的に一物一価が成り立ちやすい貿易財としての性質、(3)世界中で需要されることから、米国以外の地域の米ドル建てでの購買力が価格に影響する性質、があることなどから説明ができる。実際、CRB指数(スポット)と、米ドルの対ユーロ・対円等主要通貨との為替レートを加重平均したドル指数(逆目盛り)を比較すると、2020年末ごろまで、米ドルの価値とコモディティーの価格は、おおむね逆方向に動いていたことが確認できる(図1)。
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しかし21年初以降は、米ドル指数がやや強含む中でコモディティー価格が大きく上昇するという、これまでとは逆の動きとなっており、足元ではこうした傾向が一段と顕著となっている。
9月後半以降のコモディティー価格の上昇と歩調を合わせ、外国為替市場にも動きがみられた。4月から9月半ばにかけて、1ドル=110円付近での膠着(こうちゃく)状態が続いていたドル…
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週刊エコノミスト
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