経済・企業

FRBの利上げは来年夏のテーパリング開始直後か 看過できないインフレは続く=白川浩道

インフレリスク3 利上げは「来年2回」が濃厚 初回は緩和縮小終了直後か=白川浩道

 米連邦準備制度理事会(FRB)が11月半ばから開始する量的緩和の縮小(テーパリング)は、FRBの声明通りに進めば2022年6月には終了する。市場はテーパリング開始を織り込み済みで、焦点は既に利上げ開始時期に移っている。筆者は、メインシナリオは「22年6月のテーパリング終了直後に利上げを開始し、同年中にもう1回利上げ」とみている。

 根拠の第一は、物価の高騰である。リーマン・ショック後に実施された量的緩和第3弾(QE3)では、テーパリングは14年10月に終了し、利上げ開始は1年以上が経過した15年12月であった(図)。

 当時は消費者物価の総合指数から、物価変動の激しい生鮮食品を除いた「コアCPI」はおおむね前年同月比1・6~1・9%で推移しており、インフレ率が早期の利上げを正当化できるほどに高くはなかった。

 しかし、現在は同4%を大きく超えている。FRBが目標とする「平均2%」を超え、すぐにでも利上げを考えるべき水準だ。

4倍速だった量的緩和

 第二の根拠は、今回の量的緩和のピッチの速さである。リーマン・ショック後の08年11月~14年10月で段階的・断続的に実施された量的緩和(QE1~3)ではFRBの証券保有の増加分は約3・7兆ドル(現在のレートで400兆円超)だった。コロナショックを受けての20年3月~21年11月に実施された今回の量的緩和では証券保有の増加分は4・3兆ドルに上る。つまり、QE1~3の4倍速で証券保有を増やし、しかも増加額は今回の方が大きい。“4倍速”で行われた量的緩和の結果が、「資産インフレ」と「物価高」である。FRBは急激な量的緩和の副作用を警戒せざるを得まい。

 ただ、FRB内では「22年中の2回利上げ」と予測するのは依然少数派だ。9月時点におけるFRB政策メンバーの利上げ予測…

残り591文字(全文1391文字)

週刊エコノミスト

週刊エコノミストオンラインは、月額制の有料会員向けサービスです。
有料会員になると、続きをお読みいただけます。

・会員限定の有料記事が読み放題
・1989年からの誌面掲載記事検索
・デジタル紙面で過去8号分のバックナンバーが読める

通常価格 月額2,040円(税込)

週刊エコノミスト最新号のご案内

週刊エコノミスト最新号

8月23日号

電力危機に勝つ企業12 原発、自由化、再エネの死角 オイルショックを思い出せ ■荒木 涼子/和田 肇15 電力逼迫を乗り越える 脱炭素化が促す経済成長 ■編集部16 風力 陸上は建て替え増える 洋上は落札基準を修正 ■土守 豪18 太陽光 注目のPPAモデル 再エネは新ビジネス時代へ ■本橋 恵一2 [目次を見る]

デジタル紙面ビューアーで読む

おすすめ情報

編集部からのおすすめ

最新の注目記事