マーケット・金融

FRBの大量購入で抑えられた物価連動債金利と株価の絶妙な関係 テーパリング後に金利上昇ならば歴史的に割高な株価調整も=松本 史雄

    緩和縮小リスク2 「割高株価」崩れる前兆は物価連動債金利の上昇=松本史雄

     S&P500種指数は9月に調整したものの、10月に再び上昇基調に転じ、本稿執筆時点では4649ポイント(米国11月11日終値)と高値圏で推移している。同指数の12カ月先の利益をベースとした予想PER(株価収益率=株価÷1株当たり純利益)は昨年3月のコロナショック後、20~23倍で推移している。過去10年の平均は16~17倍程度だった。つまり、現在は過去の経験則に照らせば、企業収益に対して株価が上がりすぎということになる。

    FRB保有でゆがみ

     足元の水準は、2000年前後のITバブル時につけた22~24倍程度に迫る高さである。新型コロナウイルス感染拡大を受けた経済ショックに対処するための、米連邦準備制度理事会(FRB)による大規模な資産買い入れ、それに伴う豊富な資金供給が寄与したことは間違いない。

     しかし、FRBはこの大規模な資産買い入れに区切りをつけ、11月よりテーパリング(量的緩和縮小)を開始する。テーパリングについては一般的に、「株式市場は織り込み済み」「次のステップである利上げまでは株式市場に大きな影響はない」と説明される。

     ただ、筆者は物価連動国債の金利(国債の利回り)の上昇が、株価調整・下落のリスク要因になりうるとみている。

     物価連動債とは、元本と利払い額が物価に連動して変動する債券だ。表面利率が固定されているので、インフレにより元本が膨らめば利払い額も増える。このためインフレ連動債とも呼ばれる。

     この物価連動債金利の上昇で株価が調整すると考える理由は、PERが15倍を上回った14年ごろから、S&P500指数と物価連動債金利が逆相関関係にあるからだ(図1)。つまり、物価連動債金利が低位で推移している局面ではPERが高く、逆に物価連動債金利が高めに推移すればPERは低い(逆相関の理由は囲み参照)。

     現在の株価との逆相関を観察する上で、20年3月以降は物価連動債の債券価格と金利がゆがめられていることには留意が必要だ。発行済み残高のうちFRBによる保有は、平時は10%程度だが、足元では25%超に上る(図2)。保有比率が高まったのは、コロナ危機に対するFRBの大規模資産買い入れが行われたからである。物価連動債10年物の金利は昨年3月以来、マイナス圏に沈んでいる。

     この金利が長期にマイナス圏に沈…

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