経済・企業 東証再編
「日本人が日本株を持てる『資本主義』に」=インタビュー:高田創氏
有料記事
高田創 岡三証券グローバル・リサーチ・センター理事長、エグゼクティブエコノミスト
「日本人が日本株を持てる『資本主義』の議論不可欠」
金融庁の金融審議会「市場構造グループ」メンバーとして東証の再編のあり方を議論してきたエコノミストの高田創氏に、今回の東証再編の評価などを聞いた。
(聞き手=稲留正英/中園敦二・編集部)
── 今回の東証再編の評価は。
■東証1部上場銘柄は20年前、約1000社だったのが、いまは2倍以上になった。上場基準が低く、さらに(新興企業向けの東証マザーズに上場後、短期間で東証1部に移行する)東証の営業戦略的な部分も現実にはあったからだろう。東証1部に上がれば、自動的にTOPIXの採用銘柄になる。その結果、TOPIXは相応の優良銘柄ばかりでなく、玉石混交となってしまった。日本を代表する株価のインデックス(指数)として、TOPIXの価値が低下するとの議論も一部で出ていた。こうした問題意識に沿って、東証再編とTOPIX改革に同時に乗り出したことは評価できる。
── 「プライム市場」の条件の一つである「流通株式の時価総額100億円以上」はもっと高くてもよかったのでは?
■いろいろな議論はあっただろうが、現実には(減額してほしいという圧力を)排除しきれなかったのだろう。地方に本社があり、時価総額が小さい企業にとって、これまで東証1部上場がステータスであり、プライム市場が東証1部と同一視されていることに配慮したと推測している。
ただ、市場再編とTOPIX改革を切り離し、TOPIXをあるべき姿に近づけた。一つの成果だ。銘柄をガラッと変えた方がよかったのかもしれないが、TOPIXを運用対象としたり、運用のベンチマークとしている投資家も多いため、「指数の連続性」も保たなければならず、簡単には(銘柄の大幅入れ替えは)できなかったのだろう。「スタンダード市場」や「グロース市場」の銘柄でも、いい銘柄はTOPIXに入れても可能という柔軟性は必要だ。
── 「流通株式」について、持ち合い分は…
残り975文字(全文1825文字)
週刊エコノミスト
週刊エコノミストオンラインは、月額制の有料会員向けサービスです。
有料会員になると、続きをお読みいただけます。
・1989年からの誌面掲載記事検索
・デジタル紙面で直近2カ月分のバックナンバーが読める