経済・企業 東証再編
ゆうちょ銀行、サイバーエージェントの流通株対策に注目=村瀬智一
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親子上場 流通株比率の確保へ解消加速 ゆうちょ銀、サイバーAにも注目
来年4月からの東証再編で、親子上場の解消が大きなテーマになっている。プライム市場に上場するには流通株式比率が35%以上必要となり、この基準を上場子会社がクリアするには、親会社が保有する子会社株式を放出するか、あるいは完全子会社化して上場廃止するかの選択を迫られることになるからである。
親子上場を巡っては、従前から問題点が指摘されていた。それは、親会社が過半数の株式を保有していることから、一般株主によるモニタリング(監視)機能が低下したり、外部からの意見を反映する土壌が失われたりする弊害を通じ、結果的に上場子会社のガバナンスを脆弱(ぜいじゃく)化させるからだ。
今年10月末時点の主な親子上場企業を表にまとめたが、東証再編を前に親子上場の解消に向けた動きが出始めている。グループ戦略の見直しと合わせ、親会社が保有する上場子会社の株式を他の上場企業などに譲渡するといった動きだ。
ソニー、日立で再編実施
ソニーグループ(G)は2020年7月、65%を出資していた金融子会社のソニーフィナンシャルホールディングス(HD)へのTOB(株式公開買い付け)を完了した。ソニーGは同社を完全子会社化し、同社は上場廃止となった。ソニーGはこれにより、思い切った経営判断ができるため、グループの技術と組み合わせることで、新たなサービスの開発などが見込まれる。
グループ再編を加速している日立製作所は、800社を超えるグループ会社を21年度をめどに500社程度にする計画であり、上場子会社においても売却を進めてきた。現在は日立金属と日立建機が上場しているが、日立金属については米投資ファンドのベインキャピタルが主導する日米の企業連合に売却する。また、日立建機については、事業が拡大し、グローバルで戦えるように後押しするうえで、グループ内に取り込むか売却するかについて21年度中に結論を出す方針を株主総会で明らかにしている。
日立はサステナブル(持…
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週刊エコノミスト
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