経済・企業

マネーの動きを一手に掌握する「デジタル人民元」の狙い=野口悠紀雄

デジタル人民元を使ってコーヒーを購入しようと列を作る人々(中国・北京、2021年9月) Bloomberg
デジタル人民元を使ってコーヒーを購入しようと列を作る人々(中国・北京、2021年9月) Bloomberg

北京冬季五輪で発行予定 マネーの動き掌握が狙い

中国政府は2022年2月、北京冬季五輪に合わせデジタル人民元の発行を計画している。

 デジタル人民元を導入する目的は何か。第一に、政府は国民の利便性向上が期待できる点を宣伝するだろう。しかし、中国の場合にはすでに支付宝(アリペイ)や微信支付(ウィーチャットペイ)などの電子マネーが広範に使われている。利用者数は、アリペイが10億人以上、ウィーチャトペイが約8億人と言われる。これに加えてデジタル人民元を導入しても、国民の利便性が格別向上するとは思えない。

 また、人民元の国際的な地位向上を狙っている側面もあるだろう。デジタル人民元は、仮想通貨の一種であるため、技術的な観点から言えば外国人が用いることも可能である。実際、中国政府はデジタル人民元を一帯一路地域に普及させる狙いがあるとみられる。ただ、中国からの資金逃避の手段に用いられる危険などがあるため、人民銀行が無制限に外国での利用を認めるとは考えられない。

 中国政府は最近になり、格差縮小をうたう新たな目標「共同富裕」を打ち出した。仮にデジタル人民元の外国での利用を無制限に認めると、富裕層が資産を海外に持ち出す手段として使われる危険がある。当局としては、これを抑止する必要があると考えているだろう。

 また仮に人民銀行が外国での使用を認めたとしても、世界の人々がデジタル人民元を使うかどうかは別の問題で…

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週刊エコノミスト

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