経済・企業

22年も半導体は売り手市場、新工場効果は24年以降=吉川明日論

半導体を生産するクリーンルーム。世界各地でフル稼働状態だ(米受託製造業グローバルファウンドリーズのシンガポール工場) Bloomberg
半導体を生産するクリーンルーム。世界各地でフル稼働状態だ(米受託製造業グローバルファウンドリーズのシンガポール工場) Bloomberg

 半導体デバイスの世界的な供給不足は、2022年いっぱいは継続する見通しだ。

 20年から急増する需要に供給が追いつかない状況が一向に改善されず、自動車生産が滞るなど経済全体にマイナスの影響を与えている。事態の深刻化を受けて先進各国政府は巨額の補助金提供を決断し、半導体大手各社は新工場の建設計画を相次いで発表した。

 表はロジックとアナログ半導体を中心とした大手メーカーの半導体工場の新設計画のリストだ。ほとんどの新工場は24年以降の稼働となっている。半導体工場は建設開始から最初の製品が出荷されるまで少なくとも2年はかかる。

 その後も歩留まりの調整期間を含めると3年がかりの大掛かりなプロジェクトとなるのが通常だ。筆者は、供給拡大に向けた半導体デバイスメーカーの動きが、旺盛な需要に追いつくまでは、なお2年程度の期間を要すると考えている。これが、少なくとも22年いっぱいは半導体が不足する市場構造が続くとみる根拠である。

供給網の上流に動きも

 加えて、半導体製造にかかわる複雑なサプライチェーン(供給網)各社の動きは今後も注目の要因である。半導体デバイス大手各社による新工場の建設ラッシュに対して、供給網の上流にあるシリコンウエハー、化学製品、製造装置などのメーカーが追随して生産能力を引き上げる動きが出てこなければ業界全体の供給は底上げされない。

 しかし、半導体産業は、“シリコンサイクル”と呼ばれる、需要拡大による好況期と収縮による不況期の波が一定の規則性を伴いながら到来することを経験してきた。過…

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週刊エコノミスト

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