経済・企業

弱い消費と賃金、安全網構築でてこ入れを=門間一夫氏

(みずほリサーチ&テクノロジーズ提供)
(みずほリサーチ&テクノロジーズ提供)

 <2022年の突破口 INTERVIEW>

 金融政策の中枢にいたエコノミストは、中小企業に再編を促し、労働者への支援策が必要だと説く。

(門間一夫 みずほリサーチ&テクノロジーズ エグゼクティブエコノミスト)

(聞き手=浜田健太郎・編集部)

── 2022年の日本経済の展望は。

■やはりコロナ禍の動向が焦点になるだろう。足元では感染が収まり、これをうまくコントロールしながら、多少感染が増えても経済と両立ができるかどうかだ。特に注目すべきは個人消費の回復だろう。日本はここが本当に弱い。コロナ前に比べると実質で6%近い落ち込みで非常に冷え込んでいる。消費がコロナ前の規模に回復している米国とは対照的だ。

── 日本では対コロナの重圧が大きいということか。

■コロナにより外食や旅行を控えた結果、サービス消費が落ち込んだことに加えて、日本では消費財に対する需要がとても弱い。コロナ禍によって人々が「巣ごもり」していることはどの国でも共通だが、米国ではサービス消費の代わりに消費財への需要はとても強いのに対して、日本ではモノにもサービスにも金を使わない。コロナだけでは説明できないほど弱い。

── 弱い理由は。

■やはり賃金が上がらず、先行き不透明感も増したという消費者心理だと思う。22年で言えば、コロナの収束のほうが消費回復には効くだろうが、23年以降、長期的に消費が伸びるためには賃金が継続的に上昇していくことが必要だ。

優遇策の誤ったメッセージ

── 日本では個人消費が過去20年間でまったく伸びていない。企業が株主への還元を増やした一方で、労働者への分配を増やさずに内部留保を過剰に蓄積していることが原因では。

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週刊エコノミスト

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