経済・企業

実は1人当たりGDPが「先進国」水準になる中国=武田淳

多くの買い物客でにぎわう中国・上海の繁華街 Bloomberg
多くの買い物客でにぎわう中国・上海の繁華街 Bloomberg

中国が「先進国」に 共同富裕で中間層は拡大 5%程度の「中成長」へ=武田淳

 中国経済は夏場に減速した。実質国内総生産(GDP)成長率は4~6月期の前年同期比7・9%増から、7~9月期は4・9%増へ大きく鈍化。新型コロナの影響によるゆがみを除くため2年前比で見ても平均で5・5%増から4・9%増へ鈍化した。

 景気減速の要因は、主に(1)コロナ感染拡大、(2)電力不足、(3)不動産業の投資減──の三つである。コロナについては、一部の地域で散発的に感染が拡大し、「ゼロコロナ戦略」を取る中国政府が徹底した行動制限を実施したため、サービス分野を中心に消費が低迷した。

 電力不足は、石炭価格の急騰により採算割れした火力発電所の発電抑制が主因であり、鉄鋼や非鉄金属など素材業種を中心に影響が波及した。不動産業については、恒大集団が象徴する資金繰り悪化によるものであり、住宅価格抑制や過剰債務削減を課題とする政府が不動産業への融資を厳格化したことによる。

 10月以降は、コロナ感染がやや落ち着き、電力不足の問題も国内での石炭増産などにより徐々に改善。政府によるインフラ投資の拡大もあり、景気は持ち直しに転じつつある。しかし中国は今、政治・経済とも、それ以上に大きな転換の時期を迎えている。

 まず、政治面では、7月1日の中国共産党100周年において習近平総書記が力強く宣言、今般の「歴史決議」にも盛り込まれた通り、…

残り774文字(全文1374文字)

週刊エコノミスト

週刊エコノミストオンラインは、月額制の有料会員向けサービスです。
有料会員になると、続きをお読みいただけます。

・会員限定の有料記事が読み放題
・1989年からの誌面掲載記事検索
・デジタル紙面で過去8号分のバックナンバーが読める

通常価格 月額2,040円(税込)

週刊エコノミスト最新号のご案内

週刊エコノミスト最新号

10月3日号

金利ある世界18 長期金利の居場所の探り合い 10年国債が主役に復活する日■稲留克俊21 絶えざる資産インフレとデフレ■水野和夫22 ドル・円 米金利上昇で景気失速、金利低下 1ドル=130円の円高を目指す■吉田恒24 日本株 企業に生じた「インフレ利得」 「マイナス金利」が追い風に ■黒瀬 浩一2 [目次を見る]

デジタル紙面ビューアーで読む

おすすめ情報

編集部からのおすすめ

最新の注目記事