経済・企業

中国の穀物爆買いで市場激変。22年は小麦需給ひっ迫のおそれ=柴田明夫

中国の豚肉需要が世界の穀物市場を揺るがしている…… Bloomberg
中国の豚肉需要が世界の穀物市場を揺るがしている…… Bloomberg

穀物 中国養豚が飼料“爆買い” 価格の高止まりはまだ続く=柴田明夫

 2021年の米シカゴ穀物市場は、大豆、トウモロコシ、小麦それぞれが、主役を入れ替わる形で相場をけん引してきた。12月7日時点で、大豆は1ブッシェル=12ドル台後半、小麦は同8ドル前後、トウモロコシは5ドル台後半で推移しており、高値圏にあった5月と比べ、大豆、トウモロコシは約25%下げたが、小麦は10%弱上昇し9年ぶりの高値圏にある(図)。

 この背景には中国の旺盛な買いがある。20年8月の米中貿易協議「第1段階合意」履行を契機に、中国による米国産穀物の大量輸入が本格化する一方で、米国主要生産州での大豆、トウモロコシの単収(単位面積当たりの収穫量)低下や南米での乾燥天候による作柄悪化見通しなどが重なり、供給問題が一気に表面化した。金融緩和を受けた大量の投機マネーも穀物市場に流れ込み、価格を押し上げた。

 しかし、世界の穀物市場は供給面は潤沢で、米農務省が11月9日に発表した需給報告によれば、20/21年度(20年8月~21年7月)の世界の穀物生産量は27億8600万トンと、5年連続で史上最高を更新する可能性が高い。在庫も8億…

残り793文字(全文1293文字)

週刊エコノミスト

週刊エコノミストオンラインは、月額制の有料会員向けサービスです。
有料会員になると、続きをお読みいただけます。

・会員限定の有料記事が読み放題
・1989年からの誌面掲載記事検索
・デジタル紙面で直近2カ月分のバックナンバーが読める

通常価格 月額2,040円(税込)

週刊エコノミスト最新号のご案内

週刊エコノミスト最新号

4月30日・5月7日合併号

崖っぷち中国14 今年は3%成長も。コロナ失政と産業高度化に失敗した習近平■柯隆17 米中スマホ競争 アップル販売24%減 ファーウェイがシェア逆転■高口康太18 習近平体制 「経済司令塔」不在の危うさ 側近は忖度と忠誠合戦に終始■斎藤尚登20 国潮熱 コスメやスマホの国産品販売増 排外主義を強め「 [目次を見る]

デジタル紙面ビューアーで読む

おすすめ情報

編集部からのおすすめ

最新の注目記事