経済・企業

少子高齢化で経済は強い負のスパイラルに陥る=加藤久和・明治大学教授

若年人口の減少は市場創出を減退させる
若年人口の減少は市場創出を減退させる

カギは生産性向上 少子高齢化がもたらす経済の負のスパイラル=加藤久和

 国勢調査(総務省統計局)によると、2020年10月1日現在の日本の人口は、1億2615万人と15年に比べ約95万人の減少となった。人口減少の勢いは次第に増し、国立社会保障・人口問題研究所の人口推計(17年)によれば、今後40~50年で日本の人口はおよそ3分の1近く減少する。こうした人口減少の趨勢(すうせい)は長期的にも経済成長の動向に大きな影響を与える。

二つの留意点

 人口動向が経済に及ぼす影響を考える上で、二つの議論に留意したい。第一は、人口が減少してもそれは昭和時代の人口規模に戻るだけ、という見方だ。先の人口推計では50年ごろに総人口は1億人を割るが、これは1960年代中盤の人口規模と同じだ。決定的に異なる点は、高齢化の進展と現役世代人口の減少だ。昭和時代は経済成長にとって若年人口増加がボーナスとして貢献したのに対し、今後は高齢人口が成長のオーナス(負担)としてのしかかる。

 第二は、マクロ全体の経済成長か1人当たりの成長か、という視点だ。豊かさを議論するには1人当たり経済成長率が重要だが、これはマクロ成長率から人口増加率を引いた値でもある。今後、人口増加率が年率マイナス0・5%程度であれば、マクロの経済成長率がマイナス0・5%でも、1人当たりの経済水準は維持される。しかし、マクロ全体の成長率低下を許容すれば、長期的には1人当たりの経済的豊かさの維持も難しくなると考えられる。

経済と人口の相互依存

 人口と経済の関係を示したものが図1だ。人口動向が経済成長などに影響をもたらすと同時に、経済が人口動態にも作用する経路があり、両者の間には長期的には相互依存の関係が存在する。また、少子化や高齢化などの人口構造の変化が財政・社会保障と密接に関連し、これが再び経済に影響するなどの複雑な経路も存在する。

 人口と経済成長の関係に焦点を絞ってみる。図2は「日本産業生産性(JIP)データベース」(経済産業研究所)による70年以降の成長会計をまとめたものだ。過去の日本経済をけん引してきたのは、資本とTFP(全要素生産性)であり、労働力人口は90年代以降、ほとんど成長率に寄与していない。だが、これをもって人口減少に伴う労働力の減少はマクロの成長率に影響しないと考えるのは早計だ。近年、日本の生産性は低迷しており、人口減少や高…

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