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急進する独EVシフト、2030年までに「BEV1500万台目標」=高塚一
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ドイツ急進 新連立政権は環境重視 30年・1500万台の現実味=高塚一
欧州、ドイツで次世代自動車の普及がさらに加速している。半導体不足の影響などで、2021年の新車登録台数全体は減少傾向にあるものの、バッテリー式電気自動車(BEV)およびプラグインハイブリッド車(PHV)は台数が増加、シェアも拡大している。
欧州自動車工業会(ACEA)によると、マルタを除く欧州連合(EU)加盟26カ国の21年第1~3四半期の新車登録台数は、BEVが前年同期比95.6%増の56万8816台、PHVが129.5%増の64万3949台となった。全体に占めるシェアも21年第3四半期にBEV9.8%、PHV9.1%となっている。
EU市場の約3割を占める最大市場ドイツでは、21年11月の新車登録台数に占めるシェアがBEV20.3%、PHV14.1%となり、次世代自動車で初めて全体の3分の1以上を占めた(図)。次世代自動車購入時の助成金「環境ボーナス」のうち連邦政府助成分が20年7月から倍増され最大9000ユーロ(約117万円)が助成されることとなり、購入を後押しした。
ドイツにおける売れ筋車種は、BEVは米テスラの「モデル3」、PHVは独フォルクスワーゲン(VW)の「GOLF」の新規登録が最も多い(表)。テスラはベルリン近郊に工場を建設中で、21年内の操業開始を目指している。VWも向こう5年の投資計画において総投資額の半分以上を電動化などに配分、26年に販売台数の4分の1をBEVにすることを目指すなど次世代自動車シフトをさらに明確化している。
EV比率9割目指す
政治でもBEV推進の動きを加速させる動きがあった。ドイツで21年12月に発足した中道左派の社会民主党(SPD)、環境政党の緑の党、中道右派の自由民主党(FDP)の連立政権だ。3党は新政権の方向性について、177ページに及ぶ連立協定書で合意した。
新政権は、経済・気候保護大臣ポストを緑の党、デジタル・交通大臣ポストをFDPが得た。連立協定書に基づき、オラフ・ショルツ連邦首相率いる新政権が今後打ち出す施策は、世界の次世代自動車の潮流にも影響を及ぼす。
連立協定書のうち次世代自動車に関するポイントは大きく3点に集約される。
1点目は、EUが発表した35年の実質的な内燃機関搭載車の廃止を支持、35年よりも早い廃止もあり得るとしている点だ。E…
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週刊エコノミスト
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