国際・政治

未来はこうなる 石油メジャーが交換式充電池 中国の「EVエコシステム」=金山隆一

    百度(バイドゥ)の自動駐車システムを搭載したWM(威馬)のEV(2021年4月の上海モーターショー) 撮影・NNA中国編集部
    百度(バイドゥ)の自動駐車システムを搭載したWM(威馬)のEV(2021年4月の上海モーターショー) 撮影・NNA中国編集部

     電気自動車(EV)市場で世界の過半、車載電池の製造で世界の7割を握る中国。EV大国となった中国は充電インフラの整備と革新、使用済み電池の循環社会の構築で独自のエコシステム(生態系)で世界のデファクト・スタンダード(事実上の標準)作りを始めている。

     そのスピードと深度に世界は驚き、石油メジャーまでもが急接近している。日本もEV大国に変貌を遂げた中国といかに連携するかを考える時が来たようだ。

    電池リサイクル先進国

     資源のない日本にとってEV社会の到来は一つの危機だ。EVの製造には、従来のガソリン車やハイブリッド車(HV)に比べて多量の希少資源が必要だからだ。トヨタ自動車が得意とするHVと比較すると、EVが必要とするリチウムは72倍、ニッケルとコバルトは55倍にもなる。EVを100万台製造するにはリチウムとコバルトで現在の日本の内需と同程度の資源量が必要になる。

     この希少資源をどうリユース、リサイクルするかは死活問題だが、本格的なEV社会が到来していない日本では再利用に回すほどの車載電池がまだ回収できない。

     これに対し、一足早くEV社会に到達した中国では2025年には日本の40倍以上も使用済み電池が出てくる。EV電池は使える残容量が8割を切ると使用に適さなくなる。中国では30年にリユースされる電池がEV700万台分を超えるとの試算もある。

     これに目を付けた伊藤忠商事は19年、EV路線バスなどの電池を回収するベンチャー企業に出資。回収した電池を使い太陽光発電の蓄電装置に活用する実証試験を日本で始めた。

     中国で始まった動きを、組織的に分析する取り組みも日本で始まっている。日本総研は11月、中国の自動車産業のスタートアップ企業の動向を分析し、日系企業との連携につなげる「中国自動車産業動向分析研究会」を発足させた。

     参加する企業は日本の部品メーカー、ガラスなど素材、タイヤ、総合商社など15社。米ナスダック上場で中国の技術系メディア「36Kr」と連携し、電池や自動運転など9分野のスタートアップ企業の経営者と意見交換し、日中連携に結び付ける。

     日本総研創発戦略センターの程塚正史シニアマネージャーは「日中で自然発生的にアライアンス(提携)が生まれることを期待する」という。22年3月までに80社のスタートアップ企業と面談する。21年11月には電池や自動運転の分野で会合を持った。

     中国では、かつてイスラエルの企業が失敗した「電池交換式充電ステーション」に再挑戦するスタートアップ企業が出現し、第1回の会合で交換サービスを手掛ける奥動新能源汽車(上海市)と会合を持った。奥動は25年までにバ…

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