経済・企業

トヨタのEVシフトのカギを握るのは東芝の電池と“半導体系”全固体電池

トヨタの電池の鍵を握る 東芝と“新”全固体電池=金山隆一

 <第2部 電池争奪戦>

 耐久性と長寿命で実績のある東芝の電池。トヨタ自動車のEVシフトで注目されるのは、この東芝製電池の軽自動車への展開ではないか。EVのプラットフォームを共有化できればスズキの軽自動車が普及しているインドへの展開も可能だ。

 将来のEV制覇に向けては、希少資源を使わず、大容量で航続距離が伸ばせて、安全な電池が欠かせない。そこで期待されるのが“半導体系”の全固体電池の開発だ。日本の技術者が開発中で、複数の日系企業が開発を進めている。

 2030年にEV350万台生産にかじを切ったトヨタはEV用電池の開発・生産の投資も従来の1・5兆円から2兆円に増やし、生産能力も従来の200ギガワット時(GWh)以上から280GWhに拡大する。この規模は世界最大手の中国のCATLや、3000GWhを目指す米テスラにはかなわないが、30年に240GWhの生産を目指す独フォルクスワーゲン(VW)とはほぼ同じ水準だ。

軽のEVに使う電池

 EV発表会見の前、9月7日の会見で明らかになったトヨタの電池戦略は、全固体電池の開発を進めるものの、まずは液系リチウムイオン電池を進化させていく現実的な方針だった。22年に発売するトヨタ初の本格EVの「bZ4X」に搭載する電池のコストを20年代後半に50%削減する目標だ。

 加えて電池の協業パートナーとしてパナソニックに加え、GS・ユアサコーポレーションと東芝、さらに中国のCATL、世界4位の中国BYDと組むことを明確にした。

 パナソニックとはトヨタが過半を出資する合弁2社で主にハイブリッド車(HV)用電池を製造、パナソニック単体では09年からテスラのEV用電池を製造している。

 GSユアサはホンダや三菱自動車との車載用リチウムイオン電池の合弁2社のほか、全固体電池の開発も進めている。

 東芝は目立たないが、負極材にチタン酸リチウムを使った高耐久のリチウムイオン電池「SCiB」を持つ。08年に商品化し、スズキの「マイルドハイブリッド車」に採用され、340万台以上の納入実績がある。トヨタが東芝とEV電池で組むのはこれが初めてだ。

 東芝の電池の欠点は電圧が低いことだ。ただし、2万回の充放電を繰り返しても9割の容量を維持でき、バスや配送ルートが決まっている商用車に向く。

 採用が期待されるのが軽自動車だ。トヨタがダイハツ工業、スズキと7月に行った軽自動車の電動化に向けた共同会見でも「日本の商用車1400万台のうち、6割は軽自動車」が強調された。東芝はこのSCiB電池を進化させ、負極材に「ニオブ」とい…

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週刊エコノミスト

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